こんにちは!毎日暑くて意識を失っているうちに日付が変わっているような有様です。
先日、NHK青山教室で開催された古代ギリシャ研究家の藤村シシン先生と編集者のたらればさんのトークショー(?)に行ってきました!
イリアスと枕草子の読み比べということで、どうなることかと思っていたのですが、お二人のトークが面白過ぎてあっという間の2時間40分でした。あと、たらればさんのことをなぜか私はずっと女性だと思っていて、優しそうなおじ様が登場されてびっくりしてしまった。以下、記憶に残ったメモです。
【枕草子】
・枕草子が四季を言祝ぐことから始まるのは、当時の価値観では時空間を司る存在である帝(=帝の即位により暦が変わる)を讃えることにつながるため(なお、当時は春と秋が偏愛されていた模様)
・枕草子は政治的には「負け組」側の作品であり、当時の朝廷側に配慮された書き方になっている(じゃないと残してもらえないので)
・キラキラインスタツイートと万バズツイートが交互に書かれる日記文学
ドナルド・キーンによれば日本人は日記好き民族→TwitterやXが日本で人気なのも日記文化の名残?という考察が面白かったです。
【イリアス】
・紀元前800年ごろの人々が紀元前1400年頃の話を書いている物語
・イリアスが2000年以上残った理由は
ー古代ギリシャにおいてはアイデンティティ
ーローマ人からすれば「自分たちより前の優れた文明の残した物語(日本人から見た漢文的なもの)」
ーキリスト教時代にあっては修道院で書き継がれた、「聖書の中に答えがない問題を解決してくれる存在」
・歴史書は大事だけど、物語の形でしか伝えられないことがある
「イリアス」が古代ギリシャ人にとっては自分たちのアイデンティティ(自分たちの先祖のお話)ということは以前に勉強して知っていたのですが、いまいちピンときてませんでした。私はイリアスと古代ギリシャの暗黒時代を結びつけて考えていなかったのです。
古代ギリシャでは紀元前1200年頃に一度文明が崩壊していて、そこから4〜500年の暗黒時代に入ります。そして、ちょうどホメロスの時代頃にギリシャ・アルファベットが発明されたとされているようです。文明が崩壊した理由はいろいろ説があるようですが、いずれにせよその頃に人口が激減する何かが起きたことは確かで、史実としてのトロイア戦争も同じ頃(紀元前1200年頃)のようです。とにかく資料が残っていないし、民族の移動などもあったようなので、ホメロス時代の古代ギリシャ人からすれば「自分たちは何者なのか、自分たちはどこからきたのか」という(一応の)答えを出してくれるのが「イリアス」の物語だったのかもしれませんね。
続きはガニュメデスのお話です。
トロイア戦争は実際にあった戦争という説が濃厚ですので、系図的にはガニュメデスが生きていた時代は紀元前1400年頃ということになるかと思います。当時トロイアの近くにはヒッタイトという大国があったということで‥私はヒッタイトのことは篠原千絵先生の「天は赤い河のほとり」で読んだ知識しかないのですが‥うーんあの時代ね‼︎とめちゃくちゃ納得してしまいました。ガニュメデスの服をデザイン(というほどのことではないが)する時は普通に古代ギリシャで着用されていたキトンを資料として見ていたのですが、天は赤い河のほとりを読み直して参考にしたい。
あと、ギリシャ神話は美男美女だらけなのですが、とりわけトロイア側には美男美女が多いとされています。トロイアってイケメンパラダイスなんか?と思いながら読んでいたのですが、昔から人種が混ざりやすい地域には美男美女が多いとされているので(トロイアも現在で言うヨーロッパとアジアの境目)、その影響もあるかも。昔からトルコは美男美女が多いとされてますよね。
あと、ギリシャ神話創作を捏ねながら「なんでギリシャ側の物語なのにゼウスの愛人がトロイア(敵国)の少年なんだ・・?」と疑問に思っていましたが、古代ギリシャではいわゆる「給仕」的な役割につくのは美しい奴隷が多かったということを読んで、「かつて自分たちの先祖が攻略した国の美少年が今でも自分たちの信じる最高神のもとで(古代ギリシャでいう奴隷的な)お酌係をやっている」という物語にロマンを感じていたのかも? と思ったりしました。